この建物の良さは、大きく分けて2点あります
一点は、ヴォーリズ建築としての面白さ、そしてもう一点は、郵便局舎として営業されていた頃の面影が随所に残っていることです。
神社仏閣などの宗教施設は、昔のままで残っていることはよくありますが、会社や商店などという施設は建物の寿命のうちで幾度と無く増改築がなされ外回りはまだしも内部空間は建築当初の面影など殆どなくなってしまっている、というのが普通です。
しかしこの建物は昭和12年の完成当時から、ほとんど内部の改装を加えることなく維持され、かつ郵便局としての機能を終えた後も、貸し倉庫という形で管理されていました。それがゆえに管理の行き届かなさはあったものの内部の改装はほとんどなされてませんでした。
(残念ながら特徴的であったであろう受付カウンターは物の出入の邪魔なるということで撤去されたようですが)
それで、きれいに掃除をして改めて建物を見てみると、郵便局舎としての機能が止まった昭和の時代にタイムスリップしたような空間がそこに現れました。
今後は、建物の維持管理もしていかなければなりませんが、現にこの庁舎で働いておられた方が、まだ、多数ご存命であり、今聞き取り調査なども進めています。
倉庫の片隅には、当時の雑多な書類などが沢山残っていました。
それらを合わせた形で、「ヴォーリズ建築」と「昭和の時代の郵便事業」みたいなものが今後現せていければイイナと思っています。
(本田)